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察者により相違がある。胃幽門前庭部潰瘍と十二指腸潰瘍ではO型者のリスクが1.5倍高く、胃底腺部潰瘍では特定の傾向はない。十二指腸潰瘍では非分泌者(Lea型)のリスクが1.5倍高い。消化性潰瘍の相対発生率はO型者で1.2〜1.3である。このように、疫学的には、消化性潰瘍とABO式血液型は比較的弱いながら関連性は認めれており、血液型物質の粘膜保護作用が仮説として提示されてはいる4)。
胃疾患の病態にH.pyloriが関与することが判明して以来、この種の検討は、本菌と血液型との関係の調査に移行した。H.pylori感染における遺伝学的な宿主要因の解析は、実は血液型物質と本菌との接着において初めてなされた。本菌の接着因子はLeb抗原に接合し、これと同様のオリゴサッカライドエピトープ(ガラクトース、フコース)を有するO型抗原を持つ者は、A型・B型者に較べ感染しやすいという報告である5)。さらにその後、トランスジェニックマウスを用いた、本菌とLeb抗原との接着を示す報告も出てきた6)。しかし、多くの疫学結果は、H.pylori感染とABO式血液型やLeb型との相関には否定的であり7、8)、一部の報告に十二指腸潰瘍または消化性潰瘍症例でLea型がH.pylori感染に関与

 

 

 

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